=== Qualia Mystery Remix==================================
クオリア・ミステリー・Remix
(1999/04/30)
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クオリアとは、「赤い色の感じ」のように、私たちの感覚を構成する
ユニークな質感を指します。
クオリア・ミステリーは、科学的アプローチを基礎に、様々な側面
から心と脳の関係について考える未来感覚マガジンです。
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
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[Qualia Mystery Remix] by Taka柴田
Contents
・発行者から
・「星と脳科学」 Remixed by Taka柴田
●発行者から
今回は、脳外科医のTaka柴田さんがReMixします。
<Taka柴田(柴田孝)>
1969年、東京生まれ。29才、独身男性(現在、嫁さん募集中)。
千葉県立船橋高校、そして、富山医科薬科大学卒業後、そのまま脳神経外
科医となる。
研修の後、富山医科薬科大学院に進学し、大脳生理学を専攻する。現在、大
学院4年生。
顔の視覚情報処理に興味を持っていたが、現在は、Qualia Theoryにはまっ
ている。
毎日、豊かな自然の中のQualiaと戯れ、そこからインスピレーションを得て
いるため、発想がたまに奇抜になる。性格は、温厚でのんびりとしている。
争いを好まない平和主義。
電子メイル g6410103@ms.toyama-mpu.ac.jp
● 星と脳科学
「Qualia World」、それは、21世紀の人類にとって、未知で魅惑的な意味と可能性
に満ちた時空間です。そして、今回は、そんなQualia Worldに対し、ただ「宇宙の
無数の星を眺める」ことで、Qualia Worldの魅力さとその大きさに迫ってみたいと
思います。そして、最後に、21世紀の新しい宇宙観が少しでも垣間見れたらこの
小論の意義があったことになります。
毎晩、夜空には、自然と無数の星達がきれいに輝き始めます。この自然の営みは
、太古の昔から、極く当たり前のように脈々と静かに営まれています。ここで、想
像力を働かせて、意識を1999年現代から太古の古代の人類が誕生した瞬間へとタイ
ムスリップさせてみましょう。そして、時代は遥か昔に遡り、あなたの意識は、人
類が、植物や動物から幾憶年もかけて進化してきて、ある日、突然、初めて自我と
いう意識をもった瞬間にまでやってきました。この意識の誕生した瞬間は、青い惑
星地球で起きた一つの宇宙の奇跡でもあります。そして、この初期の人類は、子供
のような無垢で純粋な意識を持っていました。そして、自己の周りの環境に対し、
初めてみる未知なものばかりなので、驚愕と神秘な思いで見たに違いありません。
その古代人も普段の日中の明るい生活に慣れましたが、ある夜、なぜか眼が覚めま
した。そして、ふと何気なく漫然と夜空に眼をやってみました。すると、なんと広
大に広がる無数の美しい星の輝きが眼に入ってきたではありませんか。そのとき、
自己が何を目撃しているかわからずに、ただ驚愕と神秘の思いで胸が一杯になった
に違いありません。しかし、同時に、また、その古代人は、星という概念も言葉も
ないので、その感動を相手に伝える手段もなく、かなり戸惑ったはずです。そして
、その古代人は、その晩、宇宙で無数の輝く星が自分の眼の前にあるように見え、
かつ、手をだせば届きそうな錯覚を起こしたため、何度も何度も夜空に向けて手を
大きく広げたことでしょう。「人類が初めて無数の星を見て宇宙と接触した瞬間」
、それは、あまりにも古代人に感動と驚愕をもたらしたため、今でも、その感動を
少しでも残そうと、星座や古代のギリシャ神話として現代人に語り継がれています
。つまり、古代人にとって、この宇宙の星を眺める行為は、宇宙に対する様々な空
想と夢とインスピレーションをもたらす原動力だったのです。この人類の最初の感
動は、天動説という宇宙観にまで構築するに至り、それは代々と民族の間に受け継
がれて、長い間、人類を支配してきたパラダイムでした。
そして、時代は変わり、中世にはいり、この地球が中心であるという天動説も終
わるときがきました。それは、ガリレオやニュートンに始まる数多くの科学の発見
のためです。科学によって、完全に天動説は終わりを告げ、私達の宇宙観は、新し
く地動説にとって変わられました。この中世から始まる地動説は、現在では、揺る
ぎない科学的事実であり、現在宇宙論の根幹もなし、今では、無から誕生するビッ
クバン理論にまで発展してきます。そして、現代では、誰も、天動説を信じている
人はいなくなり、現代人は、完全に天動説を失ってしまいました。しかし、21世
紀のQualia理論の登場と供に、この古代の天動説もあながち大きな誤りであるとは
いいきれなくなってきました。そして、実は、この新しいQualia的宇宙観は、現代
人に、あの人類が初めて星を見た瞬間のまるで宇宙の星をすべて掴めるような原始
的感覚を、再び取り戻してくれるのです。地球に誕生した無垢な人類が最初に遭遇
した世界は、果たして、一体、何だったのでしょうか?初期の無垢な人類は、全く
、Matter Worldの方を知りませんでした。つまり、世界に対して偏見のない人類が
最初に遭遇した世界は、Matter Worldではなく、Qualia Worldの方だったのです。
そして、驚くことに、Qualia Worldの宇宙観は、地動説よりも天動説の方を支持す
るのです。こう考えると、科学的知識のない古代人が、何も知らないままQualia
Worldに直接接触してしまい、その感動のあまり、天動説を唱えてしまったというの
も実は、無理がないことなのです。
それでは、最新の脳科学と供に、この古代の天動説的宇宙観を再考してみましょ
う。Qualia Worldの特徴は、それが全て脳内事象の主観的な世界であるために、様
々なQualiaが一つに繋がっていることです。それでは、このQualia理論で、星
Qualiaが見える機序を具体的に考えてみましょう。物理的時空の星というMatterは
、ある光の波長を宇宙空間に放ちます。何億光年離れた星からの光は、遥々、地球
にまで届き、最終的に私達の網膜にまで運ばれます。この網膜にきた光は、網膜の
神経細胞を発火させ、ヒトの脳内に、後頭葉から側頭葉にかけて繋がる神経細胞の
発火のクラスターを起こします。ここで、もし流れ星であれば、黄色い色と星形の
形は腹則経路で情報処理され、一方、動きの情報は背則経路で情報処理されます。
そして、最終的に、この背則経路と腹則経路という二つの異なる情報は、私達の環
境であるQualia worldの中で、一つの流れ星としてbinding され結びつけられます
。このとき、なぜか、Qualia worldにおける星Qualiaは、元の物理的な時空の星
Matterのところに回帰していくように見えるため、今私達の見ている星Qualiaは、
宇宙のはるか彼方にあるように見えてしまいます。しかし、元を辿れば、星細胞の
発火と環境との相互作用に過ぎないのですから、どんなに遠くに星が見えても、本
当に星Qualiaが宇宙の彼方にあるわけではないのです。だからこそ、何も知らない
無垢な古代人は、この星Qualiaを捕まえようとして手を伸ばし、自分中心的な宇宙
観を作ってしまったのです。また、脳内の情報処理では図地分離的情報処理が起き
、星Qualiaとその背景の夜空とは分離されるのですが、このことは、Qualia
worldでは、その星Qualiaの形とその背景の暗い夜空とが微妙に繋がっていることを
示唆しています。この新しいQualia 的世界観は、実は、無数の星が地球を中心とし
た宇宙の壁の背景に埋め込まれていると考えた古代人の天動説とほとんど同じなの
です。そして、この星Qualiaとヒトとの結ぶつきは深く、古代より占星術として伝
統的に細々と伝わってきています。「星Qualiaが、ヒトの人生に影響を与える」こ
のあまりにも奇想天外な発想は、今までの物質科学では、完全に迷信とされてきま
したが、最新のQualia 理論を基に考えると、意外と星Qualiaがヒトの人生に影響を
与えているかもしれないのです。「星Qualiaの本当の起源を知ること」、それは、
ヒトの地動説的宇宙観を、再び、古代の天動説に変えるほどの影響力があるのです
。
21世紀を目前と控えた人類に、再び、古代人の天動説が、従来の地動説を包容
しながら新しい息吹とともに復活するのでしょうか? 皆さん、今晩は、じっくり
と夜空を眺め、無数の輝く星Qualiaを味わい宇宙の神秘を堪能しましょう!
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○電子MG Qualia Mystery Remix 1999/04/30
発行者:茂木健一郎 (脳科学者)
kenmogi@qualia-manifesto.com
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