=== Qualia Mystery Rave==================================
クオリア・ミステリー・Rave #3
(1999/07/27)
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クオリアとは、「赤い色の感じ」のように、私たちの感覚を構成する
ユニークな質感を指します。
クオリア・ミステリーは、科学的アプローチを基礎に、様々な側面
から心と脳の関係について考える未来感覚マガジンです。
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
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#Qualia Mystery Regular Issueは、2 stages, 16 issuesを刊行後、
現在夏休み中です。3rd Stageは、9月に再開予定です#
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-> http://www.qualia-manifesto.com/qualia-mystery.html
[Qualia Mystery] < Rave #3>
Contents
・発行者から
・Qualia Mystery Rave Session 3
・脳科学ニュース 動くニューロン、退けるタンパク質
●発行者から
クオリア・ミステリー夏の特別企画として、Qualia Mystery Rave
の第3弾(Final Session)をお届けします。
メイル・マガジンという「場」を共有して、
最後となるSession 3では6人の
参加者が心と脳の関係、人間と宇宙の関係を巡って、
言葉のダンスを踊ります。
やがて東の空が白み、皆で浜辺に朝日を見に行く時、
Raveの濃密な時間の流れは終わりを告げます。
●Qualia Mystery Rave Session 3 (FINAL SESSION)
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何を研究してるの?
脳。
誰が喜ぶ?
脳。
何を使う?
脳。
何が変わる?
脳。
何が分かる?
分かり得るもの。
何が示せる?
示し得るもの。
どんなデータ?
脳。
どんなメディア?
脳。
誰が試す?
脳。
何が残る?
脳。
Toshi Aso (脳生理学)toshiaso@silver.ocn.ne.jp
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最近はまっていることは、聴くこと
出来事を聴く
場所を聴く
自分の体調を聴く
友人の笑顔を聴く
今朝見た夢を聴く
今を聴く
幼い頃は様々な現実を聴き、同時に、
自分の音楽をいつも奏でていたような気がする
いいから黙っていなさい
聞こえない振りをしなさい
皆で同じ音を出しなさい・・・
ソレデハ音楽ニナラナイヨ
奏でたいよ、聴きたいよ、響かせ合いたいよ
でも、自分の演奏の仕方を忘れてしまった
どうやるんだっけ
あわてずに
する必要のない演奏を止めて
ひとつひとつ
そして自分に耳を澄ます・・・
聞こえてくるよ Dawn Chorus
さあ演奏を始めよう
<かとう 夜空の散歩人 katoh@voidspace.com>
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死んだら何も無い。ぼくという存在の消滅。
でも、そんな喪失感を抱えているぼくそのものが
居ないのなら、もはや無い、こうして湧き起こる
むなしさも、空虚なこの考え自体も。
いま目前に広がる夏の海も、照りつける
太陽と手のひらの熱い砂も。
無さえもなくなるとき、ぼくは全宇宙と一致し、
そしてなぜだか、うつろだ。問いのうちに答えは
含まれている。ぼくはもう何も問わない。
・・・あれ。いまさっき、何を考えていたんだろう。
忘れた。ただ心に残る清涼感。
(しかし、これじゃまるでCokeのCMみたいだ。)
<ぼく>において差異は生れ、
<ぼく>によってときは成る。
真も偽も。生も
死も。有も無も。
<ぼく>という場に生成する電子と陽電子。
<ぼく>という場を生成する電子と陽電子。
<浜田浩 反抗的人間 hiro9619@bc.mbn.or.jp>
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遥か彼方の太陽が大地を焦がしている
そんなある真夏の日
広大な青い空が眼前に広がり、
遠くに地平線が見えていた
突然、河辺から白い美しい鳥が飛び立った
驚いた僕は、眼を閉じた
すると、すべての風景は消えた
今みた風景は、全て幻なのだろうか?
そのとき、眼を閉じた僕の心に何かが浮かぶ
広大な暗やみの空間である
その暗黒の宇宙に浮かぶ惑星、地球
地球は暗黒の宇宙に青い輝きを放っていた
そして、地球の空も海も青かった
眼をそっと開けてみる
すると、青い空が僕の眼に飛び込んだ
「地球は青い」
それが自然なのだと感じた。
<柴田孝 脳外科医 g6410103@ms.toyama-mpu.ac.jp>
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今の大雨はノストラダムスの大予言だろうか?
気象がおかしくなる度に似たようなことを考える。
経済がおかしくなる度に似たようなことを考える。
どこか最近厭世的で大嵐が私の過去を吹き消し
てくれるのを待っているのだ。
最近、それならお前もIターン就職すればよい
ではないかと旧友に言われた。誰も知る人はいな
いしお前の嫌いな喧騒もない、と。
しかしいざ彼のところに遊びに行くと、どこと
なく空虚なクオリアを受け取る。
そして次の瞬間抗し難い力で都市に引き寄せら
れる。
私はまだ多くのことをここに残している。
簡単に足を洗えそうにはない。
はらだだいすけ ただの酒飲み
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理解とはどういうことだろうか?
少なくとも二つの要素?(方向?)が挙げられる。
ココロによるものと、カラダによるもの。
命題的なものと、操作的なもの
観察と、製作
そこに到る証明と、そこから導かれる帰結
意味と、使用
日常言語と、形式言語
解明と、説明
統制的(regulativ)なものと、構成的(konstituiv)なもの
事後と、事前
過去と、未来
状態と、過程
「心」について、「私」について、「理解」について考えるとき、
私はどうしたらいいんだろうか?
ここに例示した二つの要素?はどこにでも顔をのぞかせる。
しかし、どういうイミで?
そこでのイミとは?
なぜ「ソコ」なんだ?
こういう疑問が抜きがたい。(だから答えは「ソコヌケ」になるだろう?)
言葉の意味について論じる、
観測された現象について考える、
啓示されたコトについて信じる、
様々なことを疑う、
何かを計算する、
脳(カラダ)を動かす、
新しい理論を創造する、
、、、
それらの動詞を生きることはどういうことなんだろう?
「動詞」として「理解」するのみでいいのだろうか、
そもそも動詞の理解はどのようなものがありうるのだろうか?
キーワードは理解することが難しい。
根源的なキーワードは新しい使用空間が広がることにより、それ自身の理解も変化し
ていく。
内容においても、
もっと重要なことに理解のモードそのものにおいても。
Qualia
これは解明されねばならない。しかし、日常言語の理解の場での解明に限られると限
定してはならない。
これは説明されなければならない。しかし、既存の科学の理論体系の上での説明だけ
に限られると限定してはならない。
これは使用されなければならない。しかし、今のこの世界のなかに限られると限定し
てはならない。
これらの限定がなんなのかが見失われている。
限界を言明し、Noということではない。
限定という働きそのものに触れねばならない。
その触れ方自身が限定の中に落ちこみ切ってしまわない仕方で。
我々はなにをなしたらよいのだろう?
既存のものを組み合わせる、
人の意見に解説する、
自分の考えを表明する、
新しい理論を定式化して見せる、
、、、、
みんな正しい。
全ての活動が関連し合うのであるから。
みんな間違っている。
どこで関連しあうかが真剣に触れられていないから。
形と個の違いは誰でも言える。
その差異が、何かを指し示す場と指し示しの方向の両者に触れることが難しいのだ。
eureka!
この叫びを見よ!
このココロに触れよ!
しかして考えよ!
Qualia「自らが」eureka!と叫ぶように。
eureka!「自らが」qualiaであるように。
新しい広がりが開ける、、、そこ以外にmanifestはない。
塩谷 賢 (考えたい人) saltcat@bc4.so-net.ne.jp
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ああ、いつの間にか、天頂まで明るくなっている。
星が、朝の気配を感じて遠く消え去ろうとしている。
なぜ私はここにいるのか、
なぜ世界はここにあるのか?
存在の不思議、心の不思議を、
私は都会の日常に帰っても忘れまい。
コレデレイヴハオワリ。
マタアウヒマデ。
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◆ 脳科学ニュース◆ 動くニューロン、退けるタンパク質
人間のような多細胞生物の中の細胞を考える時、私たちは細胞というも
のがそもそも「移動する」能力をもっていることを忘れがちです。
しかし、発生の過程において、細胞の移動は重要な意味をもっています。
脳でも、ニューロンの移動が発生の過程において本質的な意味を持ちます。
マウスの神経発生においては、前脳室下領域から嗅球へとニューロンが
移動します。この際、ニューロンは途中にある他の領域に間違って侵入
することを避けなければなりません。
Wu, W. et al. Nature 400, 331-336 (1999)は、Slitと呼ばれるたんぱく
質が、ニューロンが移動中に不適切な領域に侵入することを妨げている
ことを見い出しました。Slitは、膜上にあるRoundabout (Robo)と呼ばれる
受容体との相互作用により、「ニューロンの侵入の阻止」を実現していると
考えられています。
あるものをA地点からB地点に移動させる際には、A地点に「誘導する
力」と同時に、途中の経路で「脇道にそれることを阻止する力」が必要です。
例えば、球がお椀の端から底に落ちる際には、重力が「誘導する力」、
お椀の表面の反発力が「脇道にそれることを阻止する力」となっています。
今回、Wuらは、Slitタンパク質の勾配が「脇道にそれることを阻止する力」
となっていることを見い出したわけです。イメージとしては、
化学反応の世界で、力学的世界の境界、拘束条件、さらには摩擦といった
性質が再現されているということになるのかもしれません。
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○電子MG Qualia Mystery Rave 1999/07/27
発行者:茂木健一郎 (脳科学者)
kenmogi@qualia-manifesto.com
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