私たちの心の中の様々な「クオリア」(qualia)に対応する物質的過程の性質を明らかにすることは、自然科学を従来の客観的視点に立った物理主義の科学から脱皮させるための最大のチャレンジである。
私たちの心の中にある「クオリア」の性質がどのように物質的過程から生み出されるのか、そして、そもそも様々な「クオリア」が結びついた表象が感じられる枠組みである「私の心」という主観性(subjectivity)の構造がどのような物質系にどのような条件の下で現われるのかを明らかにすることは、客観的世界と主観的世界の間で分裂した私たちの世界像を整合的なものにする上で必要不可欠なステップである。
「クオリア」や「主観性」の起源の解明は、自然科学の問題として重要であるばかりでなく、人文的文化の究極的基礎を提供する。
C.P.Snowの言う「二つの文化」の間の亀裂を埋めることは、「クオリア」や「主観性」の問題を追求することによって初めて可能になる。
「クオリア」は、今後の人類の知的挑戦における本質的課題を象徴する概念である。
知的に誠実であり勇気を持つ者達よ、「クオリア」の解明のために団結せよ!