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Date: Thu, 25 Jan 2001 09:13:33 +0900
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Subject: [qualia:4777] Re: 意識と言語
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fixpointです。
> とにかく私はこの「自意識は内語表象を必須の基盤として成立する」という説に
> 固執しています。
”とにかく固執”ですか。(笑)
> 複雑な数式演算が紙の上や黒板上で順番に少しずつ変形を繰り返しながら進めら
> れるのと同様に、人間の内省思考が、内語による命題表象を掲示する脳内の黒板
> 上で、元になる命題から論理形式上ともかく表面的には正しい展開で生成した新
> たな命題や、またはまったく独立した新たな発想から生まれた命題などの内語表
> 現について、その真偽をニューラルネットワークで確かめるという処理を繰り返
> すことによって進められるものとしたとき、その過程での内語の感受の連続こそ
> が自意識という主観状態そのものなのではないかと考える訳です。
それ、信原さんの「考える脳、考えない脳」でいっていることの
表面的主張部分を強めただけでしょう。
もしかして、「とにかく固執」の理由は、信原の本を読んだからですか?
私も信原さんの本は読みましたが、その上で言わせてもらうなら、
「結局、内語とはなんなのか」ということです。私は田中さんの
ように「とにかく内語があるのだ」というような態度をとることは
できませんし、そのような思考停止の態度を信原さんが推奨して
いるとも思えません。
> 私がこの説を気に入っている理由としては、
>
> 1.ニューラルネットワークという、低次認知を良く説明する道具立てを採用し
> ており、脳内機構が下層から上層の自意識まで一環した同一の種類の神経機構で
> 説明されることになる。
>
> 2.ニューラルネットワークが介在することにより構文論的命題の意味を判断す
> る主体に関するホモンクルス的無限後退が避けられている。
>
> 3.ニューラルネットワークの処理過程までには意識の随伴も及ばないだろうと
> いう、広い合意が得られやすい前提に立脚している。
>
> などがあります。
私が田中さんの説を気に入らない理由は
1.ニューラルネットワークが具体的に
何をどのように処理しているのか
何も述べていない。
(述べられるなら苦労はないだろうが)
2.「内語」をア・プリオリに持ち出すことで、
結局、構文論の問題を外部に投げ捨てて
ヤッカイ払いをしただけである。
(答えられるなら苦労はないだろうが)
3.「内語の感受」が意識だという主張は、結局、
「内語」=客体、「ニューラルネット」=主体
とみなしており、構文論以前の、「記号と意味の関係」
について「ホモンクルス」を復活させている。
(主客の対立が超えられるなら、苦労はないだろうが)
の3点です。
特に3は一番重要な問題です。多くの人がこの問題を
「アッサリ」と無視することは、「主体と客体」及び
「記号と意味」という枠組みがいかに根の深いもので
あるかを教えてくれます。しかし、まずその根本的な
思い込みこそを疑ってみるべきでしょう。
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